寺院様で大切にお祀りされてきた仏様も経年劣化による部材の脱落や、虫害、漆、彩色層の剥落等、様々な傷みが進行していきます。この様な修復が必要になった仏様を、この先も安心してお祀りし続けていける様に修復する事も仏師の大切な使命です。

仏像修復の方法について

① 現状修復

文化財指定されている仏像などに使われる方法で基本的には欠損した部材や彩色層を新たに足す事はせず、現状の御姿をこれ以上劣化が進まないように部材の強度を高めたり、彩色層の剥落を止める等適切な処置を施す方法になります。

② 復元修復

下地、彩色層を除去し、解体した後に木地の欠損部分等を新たに作り足し本来御像が制作された御姿を想定し復元していきます。木地完成後に新たに彩色や漆箔を施し仕上げる新品仕上げと、御像の時間経過を考慮した古色仕上げがあります。

③ 両方の技法を使う方法

強度が保たれている御像については解体や下地彩色層の除去はせず、基本的には現状維持に努めながら欠損部分については作り足し、古色を施し御像をお祀りするのに相応しい御姿になるまで現状をベースに戻していく方法になります。

施主様のお考えをお聞きし上記三つの方法の中から環境や御像に合わせて最適な方法を提案させていただいております。

事例01

修復方法・・・③の両方の技法を使う方法を使いました。

長らく祠の中で眠っておられた御像になります。現状の状態維持に努めながら彩色層、胡粉層等表層のクリーニング、剥落止めをし、欠損していた部材や持物等を新たに作り直した後、再接着します。欠損していた胡粉層、漆層、金箔層を再建し古色彩色を施し、お祀りするのに相応しい御姿にお戻りいただきました。

修復前

修復後